カメラマンには見慣れた瞬間かもしれない。でもだれもこの瞬間を絵にしようとはしない。それは〝どうせ紙面では使われないから〟という打算。
しかしどうだろう。実際、絵にしてみようとすると能見選手のワインドアップのピークはほんの一瞬でしかないことがわかる。この前でも後でもない。
チームを応援するファン、ご贔屓(ひいき)選手を見続けるファン。野球の楽しみ方は人それぞれ。きっとこのワインドアップの瞬間は、この瞬間を待ち続けたファンにとっては「宝物」に違いない。でも私はこの瞬間を阪神ファン、能見ファンという枠ではなくすべての〝野球写真ファン〟に感じていただけたら嬉しい。
こんなに美しいワインドアップの瞬間を見せてくれる投手を私は知らない。
私にとって「美しい瞬間」は大切な宝物。