そしてなんとなくカーテンを開けた。
12月15日、明けゆく西の空に一際明るい満月が沈もうとしていた。スーパームーンに近い大きさの満月と言われたその姿は、今までに見たことがない美しい輝きを放っていた。
私は自宅に超望遠レンズを持ち合わせていない。とりあえず手持ちの中では最大の200ミリの望遠レンズをカメラに装着した。
ISO400 1/1000sec f5.6 ホワイトバランスはマニュアル。いつでも撮れる体制で沈みゆく月を見続けた。開けた窓から寒風が吹き込んできた。
「こんな時に偶然飛行機とか通り過ぎてくれないなかぁ」
ちょっとのスケベ心が沸いてきた。でもそんなうまくいかないよね。
満月の近くを1羽の鳥が飛んでいった。シルエットからしてカラスよりは大きそうだが、トンビのような飛び方ではなかった。カモメなどの海鳥?
え?ある?次の瞬間、同じ種類の別の鳥が近づいてくるのが分かった。
真ん中を横切ってくれ!!私は祈りながら連写した。
明け方に沈む大きな満月、横切る鳥、そしてなんとなく目が覚めた私。
写真は偶然の産物である。