個人的にあまり「奇跡」や「運」、「前人未踏」などといった言葉を安易に使うのは好きではありません。でも今回ばかりはそんなこと言っていられません。4月16日のアウェイ仙台戦で、鹿島のMF小笠原満男選手とGK曽ケ端準選手が、奇跡のJリーグ通算500試合出場を同時に果たしました。
ピッチに入る際も続いて。試合前の整列も隣同士でした。

ともに1998年、高卒で鹿島に入団しました。まずJリーグに入ることの奇跡。同じチーム、同期という奇跡。鹿島一筋の曽ケ端選手に対し、小笠原選手はイタリア・セリエAでもプレーしています。鹿島という強豪チームでレギュラーとして出場することの難しさ。現役20年目にあって第一線で活躍することの厳しさ。どれもこれもとんでもない難易度です。それがなんとなんと、20年目の同じ試合で500試合出場となってしまったのです。そして500試合出場は過去に6人しかいません。同時に7人目となったのです。

あまり感情を表に出さないタイプの小笠原選手は、特別な日ともいえるこの日も、いつもと変わらぬ目の前の1試合といった様子でプレーしました。しかし試合後、ある人の姿を見つけると、この時ばかりは少年のように目を輝かせ、心からの笑顔を見せました。 岩手・大船渡高校時代の監督、斎藤重信さんです。現在は盛岡商業高校の総監督をしている、高校サッカー界のレジェンド指導者です。教え子の偉業を祝うため、盛岡から仙台に駆けつけていたのです。小笠原選手のナチュラルにうれしそうな笑顔が印象的でした。同じく鹿島の盛岡商出身山本脩斗選手(右)も加わり、さながらミニ同窓会のような感じでした。

そして500試合というとんでもない数字もさることながら、小笠原、曽ケ端両選手ともに、この日の試合でも存在感をしっかり示していたことにあらためて敬服しました。歴史の瞬間に触れることができたことに感謝します(野上伸悟のとっておきショット)