投手はイニング間に投球練習をする。通常カメラマン席付近。投手の立ち位置によっては打席がブラインドになってしまう。

「もうちょっと動いてくれない?」などと声を掛けることはしない。投手の気持ちを優先する。

この日、私のカメラ位置は、打席と大瀬良の立ち位置との延長線上に当たってしまった。三塁側カメラマン席はほぼ満員で移動することは不可能。こんな時カメラマンは、カメラを持って打席が見える後列まで移動し立ったまま撮影する。いろいろ不便があるのだがやむを得ない。

試合が進むうちに感じた。

大瀬良が立ち位置を気にしている。

チラリと私を見た大瀬良。それから彼はスーッと自分の位置を外野方向に移動した。彼の優しさに私は心動いた。嬉しかった。

私は彼と話をしたことがない。でもいつか彼と話せるときが来たらこう伝えたい。

「カメラマンへの心遣いとても嬉しかったです。ありがとう」